コーヒーの香りと味わいを楽しみたいけれど、カフェインは控えたい。そんな方々にとって、デカフェコーヒーは理想的な選択肢です。では、どのようにしてコーヒー豆からカフェインを取り除いているのでしょうか?本記事では、デカフェコーヒーの主な製造方法3つについて詳しく解説します。
目次
1. 溶剤法(ジクロロメタン法)
溶剤法は最も古くから使われている方法の一つで、化学溶剤を使用してカフェインを抽出します。
プロセス
- 生豆を水蒸気で蒸し、豆の細胞壁を開かせる
- ジクロロメタンという溶剤をコーヒー豆に噴霧または浸漬させる
- 溶剤がカフェインと結合
- 高温で溶剤を蒸発させ、カフェインを取り除く
- 豆を乾燥させる
メリット
- 効率的にカフェインを除去できる(95-97%除去可能)
- コーヒーの風味をある程度保持できる
デメリット
- 化学溶剤の使用に対する消費者の懸念
- 環境への影響が懸念される
2. 水抽出法(スイスウォータープロセス)
水抽出法は、化学溶剤を使用せず、水のみでカフェインを抽出する方法です。
プロセス
- コーヒー豆を熱水に浸す
- カフェインと水溶性の風味成分が水に溶出
- この水をフィルターに通し、カフェインのみを除去
- カフェインを除去した水(グリーンコーヒーエキス)を新しい豆に使用
- 新しい豆からカフェインのみが水に溶出(風味成分は既に飽和状態のため)
- プロセスを繰り返し、十分にカフェインを除去
メリット
- 化学溶剤を使用しないため、安全性が高い
- オーガニック認証を取得しやすい
- 自然な方法で風味を保持できる
デメリット
- プロセスに時間がかかる
- コストが高くなる傾向がある
3. 二酸化炭素法
最も新しい方法の一つで、超臨界二酸化炭素を使用してカフェインを抽出します。
プロセス
- コーヒー豆を密閉容器に入れる
- 高圧・高温の状態で二酸化炭素を注入(超臨界状態)
- 超臨界二酸化炭素がカフェインと結合
- カフェインを含んだ二酸化炭素を分離
- 圧力を下げて二酸化炭素をガス化し、カフェインを回収
- 二酸化炭素は再利用される
メリット
- 環境にやさしい(二酸化炭素は再利用可能)
- コーヒーの風味と栄養成分を最も保持できる
- カフェイン除去率が高い(最大99%)
デメリット
- 高度な技術と設備が必要
- 初期投資が高額
まとめ:各方法の比較
方法 | カフェイン除去率 | 風味保持 | 環境への影響 | コスト |
溶剤方 (ジクロロメタン法) | 95-97% | 中 | 高 | 低 |
水抽出法 (スイスウォータープロセス) | 94-96% | 高 | 低 | 中 |
二酸化炭素法 | 96-99% | 最高 | 低 | 高 |
デカフェコーヒーの製造方法は、技術の進歩とともに進化を続けています。それぞれの方法に長所と短所がありますが、消費者の健康意識や環境への配慮が高まる中、水抽出法や二酸化炭素法がより注目を集めています。
しかし、どの方法を選んでも、100%カフェインを除去することは困難です。一般的に、デカフェコーヒーと呼ばれるためには、カフェイン含有量を元の3%以下に減らす必要があります。
最後に、デカフェコーヒーを選ぶ際は、単にカフェインの有無だけでなく、製造方法や風味、環境への影響なども考慮に入れることをおすすめします。自分好みのデカフェコーヒーを見つけて、カフェインを気にすることなくコーヒーの魅力を存分に楽しんでください。